碓氷峠の廃線跡を散策しながら鉄道遺構とか歴史とかそんなものをまとめてみたというちょっとした記録になります。
一応聖地巡礼の記事でもあるのですが、今回はおまけ程度に(それでもいつも並には書いてるけど)しておきます。
東部側の侵食によって出来た難所・碓氷峠
碓氷峠の最大の特徴は片峠と呼ばれる、片方だけが急勾配になっていることです。横川(387m)〜碓氷峠(960m:展望台だと約1200m)〜軽井沢(939m)と標高差があり、鉄道の限界と言われる66.7‰もの勾配を生み出しています。
鮫の歯や有孔虫等の生物や海底堆積岩の存在からもともとは海底であり、隆起後に新第三系の火山活動(剣の峰層・鼻曲安山岩類・入山峠層と分布)による陸成火山破砕岩が堆積したことで平地として形成されました。
その後、霧積川,湯ノ沢,碓氷川によって東部が侵食され、現在のような地形になっています。
碓氷峠と鉄道史
碓氷峠(横川〜軽井沢間)は66.7‰という勾配との戦いとの歴史です。
どのぐらいの勾配かというとあさま+EF63重連で登ったときに、先頭から最後尾まで約18.6(ビル5階分)の差が出来たというほど。
当初からこのような運行をしていたわけではなく、はじめはアプト式という線路の真ん中に歯車を追加し、噛み合わせることで登る方式でした。本当はラック式というのが正式名称ですが、スイスを始めとする欧州の鉄道ではこれが多く採用されていて、それがそのまま日本に来たことからアプト式という表現が定着をしていますね。
ただしアプト式にも弱点はあり、非効率なことでした。機関車を編成の前後に挟む形で輸送をしていましたが、スピードもでないことから信越本線の輸送力も限界になり、粘着式に変更になったという経緯があります。
ここで登場するのが、「峠のシェルパ」という通称のEF63で、碓氷と彼女とロクサンの・(以下ロクサン)でのメイン車両となります。ここで書くにはあまりに量が多いので、Wikiなりロクサンなりを読んで下さい。
簡単に言ってしまうと、協調運転が可能な設備の搭載、通常以外の様々なブレーキの搭載、再粘着装置等を搭載させた碓氷峠専用のオーバースペック機関車となります。
現在では信越本線の横川軽井沢区間は新幹線の開業で廃止となりましたが、一部ではトロッコや歩くことで当時の様子を見ることができます。
峠の釜めしというヒット商品を生み出す
峠の釜めし(以下釜めし)といえば駅弁の代名詞と言っても過言ではないと思います。東京駅でも販売されていますが、人気なのですぐに売り切れているというレベルです。(容器を使わない簡易版もありますが、値段は変わりません)
戦後の駅弁といえば似たりよったりの内容で冷たい弁当だったのですが、荻野屋はこれを保温性の聞く陶器に変更し、中身を変えたことで売上が伸びるようになりました。横川から軽井沢を結ぶ信越本線は連結などの待ち時間が長く、これによって駅弁の売上が伸びました。
今の釜めしの容器は発売当初から軽量化するために耐久性は多少犠牲になりましたが、それでも容器を使って米を炊くことができます。
こちらはバーニア600さんイラスト「碓氷と彼女とロクサンの。」限定コラボです。
容器は黄土色のが通常ですが、限定で様々な色を出しています。例えば今ですと60周年記念の赤色でしたり、SLに合わせた黒だったりですね。
中身は写真の様に見た目も良く、飽きないで食べることが出来ます。
碓氷峠を舞台とした作品達
RAIL WARS!
アニメの8・9話で研修と称して軽井沢に行くという話ですが、とあることがあって急遽軽井沢~熊ノ平~横川をアプト式トロッコで向かいます。この世界では国鉄時代の線路は廃線がないため、線路はそのまま残っている設定になっています。
碓氷と彼女とロクサンの。
こちらは比較的現代に近い設定になっています。かつて廃線となった信越本線を復活させるために活動するシェルパ部のお話です。実際に復活の計画もあったのであながち全てが作り話というわけでもないです。
鉄道以外だと頭文字Dですね。主人公の藤原拓海が始めて県外で戦った相手の真子と沙雪のホームコースという設定になります。
旧熊ノ平〜横川までを歩く
実際には歩いて向かう必要があるので、カット回収はその時にしているのですが、Rail Warsの劇中では軽井沢からこの道を通って横川に向かっていますので、逆から紹介をしていきます。
旧熊ノ平駅
横川方面のトンネルです。4つあるのですが、一番右は木に隠れて見えませんね。
徒歩で歩けるのは旧線です。左の大きなトンネルは碓氷新線で立入禁止です。
アプト式開通の碑とかの記念碑です。
架線は適当に撮っています。
変電所や信号所跡も残っています。カット通りに撮るのは立入禁止エリアを入らねばならないため、完全一致とはなりません。ここは近代化遺産でもあるため、不用意に入らないようにしてください。
軽井沢方面のトンネルです。トンネル以降も線路は残っているのでしょうか。
この駅は単線だった碓氷線のすれ違いや蒸気機関車が現役の頃の補給をかねていました。横川〜熊ノ平と熊ノ平〜軽井沢は急勾配なので、この駅周辺は平坦だったことも中間地点として選ばれた理由なのでしょうね。
廃線好きにはたまらない景色が広がっています。特に曇りの雰囲気と合いますね。紅葉の季節はまた綺麗で人気だそうです。ちなみにこの辺は圏外になってしまうので(au)、カット回収する人は予め画像を落としておくことをおすすめします。
トンネル
9-8号トンネルです。橋梁が目印なのですが、似たようなカットがないです・・。
8-7号 トンネルでこちらも近いカットのみでした。7・8号トンネルは工期短縮をするために山を分けてから掘削されたトンネルで最も簡素な作りだそうです。
6号トンネルの7号側。ここのトンネルはかなり長いです。
比較的長い6号トンネルでは蒸気機関車の出す煙を排煙するための場所が設けられています。
ひたすらに撮るのが楽しいという感想しかないですが、霧が出てるとまたちょっと怖い雰囲気にもなりますね。
めがね橋
旧信越本線の旧線で使用された最大の橋で、碓氷峠の代表的な観光地になります。2百万個以上のれんがを使用しているそうです。
橋の上でのカットはこんな感じで、完全一致をするわけではないですね。
この橋は放課後のプレアデスの聖地としても一瞬登場しています。
峠の湯駅
トロッコとしては現役で終着駅の峠の湯駅付近のカットです。分岐のあたりは駅を降りてからちょっと歩きます。
此処から先はトロッコを使えば歩かなくてもある程度は回収できるルートです。熊ノ平からだと下りなので、上りだけトロッコという選択肢もありですね。
旧丸山変電所蓄電池室
明示44年に新設された変電所で、新幹線の通るまで電力供給を行っていた施設です。
横川側が蓄電池室、軽井沢側が機械室となっていました。発電所の交流電力を直流に変換していました。蓄電池は上りの電車の電力供給に使っていたとのことです。
横川駅
目的地の横川駅のカットは駅舎ならほとんどあっています。異なるのは横川駅以西の線路が伸びてるというところでしょうか。
到着したホームの反対側と高架から撮っています。
碓氷鉄道文化村
RAIL WARS!では4人の乗ったEB42のモデルとなったED42型は屋内に展示されています。走行終了後に格納された場所にいるのはEF63なので、あわせた感じのカットになります。
ここでは下から潜り込んでみることもできますので、アプト式の仕組みをじっくり見ることができます。
鉄道文化村の前の道路に線路があった場合の場所がこちらです。
トロッコ乗り場前
EF63は講習を受けることで(テストもありますが)、構内で体験運転をすることができます。何度も行うことで重連や接続などの体験もできるようになるのですが、1回でもそれなり以上に金額がかかります。でも予約でいっぱいってどれだけつぎ込んでいるのか・・・。
ロクサンに登場する浅間夏綺(なつきち)は空いている時間を利用して何度も練習しているそうで、かなりの腕前になっています。プロレベルみたいな描写があるので、金額換算してしまうと・・・やめときましょう。
清掃バイトも来そうなのでここでいいかと思います。カットが撮れる場所はここだけみたいですね。これ以降はロクサンで登場する車両になります。
EF63
ロクサンでは表紙等、挿絵として登場してい場所ではこちらのEF63 11が描かれていることが多いです。中表紙にいるEF63 2はしなの鉄道軽井沢駅に、挿絵として描かれているEF63 15はJR東日本長野総合車輌所にいるそうです。
あさま
留置線の横の189系「あさま」はどうだ
EF63と協調運転することが可能な特急あさまはかつて上野発碓氷線経由長野・直江津行きの特急として走っていました。
今では信越本線は一部廃線になってしまいましたが、新幹線にその名が継がれています。かつて必死に登っていた峠を今では別経路のトンネルをくぐっていますね。
オシ17・オハネ12
園内の展示客車のどれかを引っ張り出すのか?オシ17やオハネ12か?
オシ17は特急用の食堂車、オハネ12は寝台車としてかつて使用された客車です。
どちらも途中で名称が変更されたもので、オシ17は7回も変わったそうです。
ここでは屋外展示がかなり充実しており、ずっと観てたらかなり時間が消えます。屋内展示も含めてずっと入れそうです。
路娘というのもいるのですね。初めて知りました。
まとめ
碓氷峠の特異な部分と、何とか輸送をしようという歴史を感じることができました。旧熊の平駅までは軽いトレッキングとしても最適でしたし、トンネルの中が涼しくてちょうどよかったです。
カット回収しながら風景撮るのが楽しくて、すっかり忘れてた部分もあるので別の季節に再訪したいですね。
ただ、雨の時は下手するとヒルにやられかねないので服装は注意してください。なるべく草むらには入らないようにしてたのに腕につき始めたのをみてビックリしました(幸い何もされませんでしたが)
他参考文献
旅と鉄道 2018/5
日曜の地学5!群馬の自然をたずねて
本記事は研究比較用として画像を引用しています。著作権は全て各原作者に帰属しています。